あまり聞きなれない制度ですが、赤字の法人を廃業する際の法制度として、破産の他に、特別清算という制度があります。私はかつて、銀行勤務時代に取引先が特別清算を申し立て、債権者として関与したことがあります。制度の概要は以下のとおりです。

1 申立要件(会社法510条)

(1)解散して清算段階にある会社であること

(2)以下のいずれかに該当すること

ア 清算の遂行に著しい支障をきたす事情

イ 債務超過の疑い

 

2 申立手続き

(1)申立権者(会社法511条)

債権者、清算人、監査役、

(2)予納金

・債権者 2/3以上の同意があり、協定で終了予定の場合 5万円、債権者 2/3以上の同意があり個別の和解で終了予定の場合8,360円

・総債権額の3分の2以上の債権者の申立同意がない場合、負債1億円以上 5億円未満の場合で200万+5万

 

3 特別清算人

通常清算の段階で選任されている清算人が、特別清算の開始決定により、そのまま特別清算人となる。

したがって、特別清算人となる者は、①法定清算人、②定款による清算人、③総会の選任による清算人、④裁判所の選任による清算人である。弁護士を特別清算人とするためには、あらかじめ弁護士を総会で清算人に選任しておく。

 

4 取り下げ

特別清算開始命令前に限り申立を取り下げることができる(会社法513条)

 

5 監督委員

裁判所は監督委員を選任することができる(会社法527条1項)

 

6 協定の可決と認可

協定解決の要件は、出席債権者の過半数かつ総債権額の2/3以上の同意(会社法567条)

協定が成立しなければ破産(会社法574条)

 

7 会社の継続

特別清算開始後であっても、株主総会の特別決議で会社を継続することもできる(会社法573条、会社法473条)

おわかりただだけたでしょうか。破産と異なり管財人が選任されず、清算する会社の経営者がそのまま特別清算人になることができるのが特徴です。しかし、協定成立要件が厳しく、一般の場合には、協定成立が見込めないため、あまり利用されない制度です。私が銀行員時代担当した会社はノンバンクであり、債権者が金融機関ばかりなので、協定を成立させることができました。