建物所有目的の借地は、借地借家法により強く保護されていますが、同法25条で「一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合は適用しない」とされています。すなわち、一時使用目的の場合は、借地借家法による借地人保護の対象外になるのですが、どのような場合が「一時使用」と認められるのでしょうか。最近の裁判例を調べてみました。(×が一時使用認定、○は一時使用でなく借地借家法適用。またXが賃借人、Yが賃貸人)

東京地裁平成24年3月15日 ×

・借地上に未登記の建物(X所有)がある土地をYが購入。

・YとX間で、賃料無償の土地貸借契約を締結。使用貸借と認定。

東京地裁平成22年10月29日 ○

・契約書上「一時使用」の文字あり2年契約であるも、題名に「建物(倉庫及び駐車場)賃借契約書」との記載があり,建物としての使用が予定されていることは明らか。

・更新繰り替えされ30年近い。

・木造住宅

東京地裁平成22年9月29日 ×

・Yは,本件建物が老朽化してきたため,平成12年から平成14年にかけて,本件建物の建替えについて具体的な検討をしていた。

・Yは,Xから本件建物の賃借の申入れを受け,建替えの必要性があることから,数年間に限定して賃借することを承諾し、Xもこれを承諾した。

・貸借期間については,Xの要望によって,5年間とされた。

・Xの使用目的が飲食店店舗としてであり,また,賃貸借期間が5年間と比較的長期であるにもかかわらず,敷金の約定はない。

・Yは弁護士に依頼して,契約書案を作成してもらい,当初案から,借主は,本件建物が老朽化しているため,貸主において建替えを予定していることを確認し,契約更新がない場合であることを予め了承する旨の条項が定められていたが,被告も弁護士に同契約書案の検討を依頼し,契約書案に対する要望を述べたが,上記契約更新をしない旨の条項には変更が加えられなかった

東京地裁平成19年2月13日 ○

・「土地一時使用貸借契約書」とされ,賃貸期間を2年間、使用目的を「材料置場」,「作業所」又は「鋼材作業場」

・賃借の2年後、鉄骨造りの建物をXは建築したがYからの異議なし

・昭和40年契約締結当時から,契約書に記載された賃料額を超える額の賃料をXはYに支払ってきた

・権利金なし

東京地裁平成13年9月28日 ○

・契約書は「臨時土地賃貸借契約書」と題され、一条に「甲は左記の土地を工場購入の為の臨時工場としての使用目的で乙に賃貸し」の文言があり、期間は短いもので1年、長いもので3年の期間が約定されている

・軽量鉄骨造のしっかりとした建物

東京地裁平成12年6月30日 ×

・契約者の表題は、「神南1丁目 土地の一時使用賃貸借契約書」とされ、前文には、「土地の一時使用賃貸借契約を締結した。」と明記され、第2条(使用目的)には「本物件を撤去、移動が可能なたこ焼店の目的にのみ使用するものとし、その他の目的には使用してはならない。」との、第3条(契約期間)には「平成6年3月25日から、平成6年6月24日までの3ヶ月間」との、第4条(更新)には「期間満了の1ヶ月前までに、各々相手方に更新拒絶の通知をしないときは、更に1ヶ月間更新されるものとし、この規定は以後の更新にも同様に適用するものとする。」との各条項が置かれた。

・建物は、一、二週間で完成させられた小さな簡易建物

・権利金なし

・XYともに株式会社であり、本件賃貸借契約締結に当たった双方の担当者は、不動産業の経験があるなどして不動産取引に通暁していたこと

東京地裁平成6年7月6日 ×

・YはXから、本件土地を当座の原告の倉庫、作業所として貸してほしいと申し込まれたが、本件土地について格別の利用目的を有していなかったものの、いずれはYの居住用に使用する予定から、その妨げになることを恐れて、一度はこの申し込みを断った。しかし、Xから本件土地の明渡請求があった場合には、いつでも明渡しに応じることを保証する旨の申入れがあり、懇願されたので、Yは、一時貸しを条件に本件土地の賃貸に応じることとなった。

・「土地一時使用貸借契約書」を1年毎に取り交わし

・権利金なし

・倉庫、事務所、作業所

・未登記

・Xは代替地確保

・Yは本件土地に居宅建築予定

東京高裁平成5年12月20日 ×

・Yの父(契約当事者)はYに相続させることにしていたことから、将来賃借人に有利な契約となっては困るとして、一時使用のための賃貸借であることを明確にしておくために公正証書の作成を嘱託することになった

・契約書上「土地一時使用賃貸借契約書」との表題が付され、本件賃貸借契約が作業場及び資材置場としての一時使用目的のものであることが明記され、被控訴人が設置することができるのは組立式の仮設物及び仮設便所だけであって、それ以外の建物その他の工作物の建設及び設置が禁止されていた。

・構築物はいつでも撤去可能な仮設建物。ただし、五回にわたって増築され、その一部には人の居住が可能な施設

・権利金なし

東京地裁平成5年9月24日 ×

・契約書の冒頭には、「一時使用土地賃貸借契約書」という表題が付され、右契約書の条項中にも、賃貸借の契約期間を二年間という一時的なものとすることが明記

・権利金なし

・木造平屋建ての建物であり、合掌造り

・倉庫兼事務所

・建築確認、登記なし