1 遺留分とは
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合をいいます。原則として法定相続分の2分の1が遺留分となります(民法1028条)。
2 遺留分を侵害する遺言は無効か
遺留分を侵害する遺言(たとえば、法定相続人が長男と次男の2名の場合、財産をすべて長男に相続させるとの遺言)も無効ではありません。遺留分を侵害された者が、遺言者の意思を尊重してそのままにしていれば問題はありません。しかし、遺留分権利者が、遺留分を侵害されたことを争おうとするなら、遺留分を保全するのに必要な限度で遺言による処分の効力を失わせることができます(民法1031条)。これを遺留分減殺請求といいます。
3 遺留分を侵害しているか否かはどう判断するのか
以外と難しいのが、当該遺言が遺留分を侵害しているか否かの判断です。前述のとおり、遺留分は法定相続分の2分の1ですから、法定相続人が子供2名の場合、法定相続分は2分の1づつで、その2分の1、すなわち4分の1が遺留分となります。問題は、相続財産が“全体でいくらか”の評価にあります。この例であれば遺留分は相続財産の4分の1ですから、相続財産の評価により、その金額も異なってきます。
まず、第一に財産の評価方法が問題になります。現金や預金は問題ありませんが、不動産をどう評価すれば良いのかかが問題となることは容易に想像できるでしょう。また、中小企業オーナーであれば、自社株の評価も問題となります。
次に、特別受益の問題があります。特別受益とは、相続人の中に、被相続人の生前、被相続人から学費や生活費、結婚費用等で特別に財産を付与されていた者がいた場合に、他の相続人との間に不公平が生じるため、これを是正するために設けられている制度です(民法903条)。ただし、どこまでが特別受益にあたるかの判断は非常に難しいです。 例えば結婚費用を受け取っていたとしても、結婚式の費用や結納費用は特別受益とならない場合が多いのですが、新居の建設費を補助してもらった場合には、特別受益にあたる可能性があります。
実際に特別受益にあたるとされた場合には、その受益分を相続財産に戻すような形で計算して相続財産の金額を計算します。
4 遺留分を侵害する遺言を作成するときの留意事項
まず、その遺言の内容で、本当に遺留分侵害となるのかを見極める必要があります。前述のとおり、不動産や自社株の評価を見極め、特別受益も考慮したうえで、遺留分侵害となるのか否かを検討する必要があります。財産の分け方により(不動産の評価は一般に売買事例より低額)遺留分侵害とならないのであれば、それに越したことはありません。
なお、遺留分減殺請求訴訟における財産の評価方法は、必ずしも相続税の評価方法とは同一ではないので注意しましょう。
遺留分侵害となる場合は、減殺請求しづらくするため、遺留分を侵害する理由も遺言書に書いておいた方が良いでしょう。
また、遺言で遺留分減殺の方法を指定することもできます。たとえば、相続財産が不動産と預金の場合、預金から先に遺留分減殺するとしたり、遺言により法定相続分以上の相続を受ける相続人がAさんとBさんで、Cさんが遺留分を侵害され、Cさんから遺留分減殺請求する場合、Aさんの分よりも先にまずBさんの分から遺留分減殺する等です。