建築トラブル
建築を業者に依頼する場合には、民法上の請負契約を締結することになります。
請負契約に関する条文には報酬の支払いや契約不適合責任と呼ばれるものが規定されています。
本ホームページでは、建築でトラブルが発生した際の民法上の規定について解説をしていきます。
・契約不適合責任とは
改正民法によって瑕疵担保責任という概念が消滅し、新たに契約不適合責任と呼ばれるものが規定されることとなりました。
契約不適合責任とは、売買契約にも規定されているものであり、請負契約に関しては、仕事の目的物が種類または品質に関して、契約の内容に適合しないものを注文者に引き渡した場合には、注文者は履行の追完、報酬の減額、損害賠償の請求、契約の解除をすることができます。
追完の請求とは、契約の内容に適合するように更なる履行を求めることです。報酬の減額に関してはそのままの意味であり、支払うべき報酬を減額することです。
また追完請求や報酬の減額と同時に、損害賠償の請求や契約の解除をすることは妨げられないとされているため、注文者は多様な措置をとることができます。
ただし、これは注文者の提供した材料や与えた指図によって生じたものである場合には、請求することができず、また請負人が提供された材料や与えられた指図が不適当であることを知りながら告げなかった場合には、例外の例外として、上記請求をすることができます。
このような制限は、売買契約には設けられていませんが、請負契約にこのような制限が設けられている理由として、請負人はある程度仕事をしたにもかかわらず、契約を解除されて報酬が支払われなかったり、減額されるといった、不利益が非常に大きなものとなっているからです。
また契約不適合責任に基づく請求をする場合には、不適合を知ってから1年以内に請求をしなかった場合には、権利が消滅することとなります。
さらに例外として、目的物を引き渡す際に、請負人が不適合の存在を知り、または重過失によって知らなかった場合には、期間制限がなくなることとなります。
・報酬の支払い時期について
基本的に請負契約の報酬の支払いは、目的物の引き渡しと同時に支払わなければなりません。
しかし、何らかの事情によって、途中で請負契約を解除し、仕事を中断することとなる場合があります。
このような契約の解除ができるのかというご質問をいただきますが、注文者は仕事が完成していない間は、請負人に損害賠償をすることで契約が解除できるとしています。
そして、請負人に関しては、損害賠償を受けるだけではなく、途中までの成果についての報酬をも受け取ることができます。
しかし、請負人の側からの契約解除の場合には、請求をすることができず、注文者の責めに帰することのできない事由によって仕事を完成することができなくなったときや、上記のように請負が仕事の完成前に解除されたときのみ、注文者が受ける利益の割合に応じた報酬を請求することができるとされています。
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弁護士紹介
池田 聡Satoshi Ikeda / 東京弁護士会所属
銀行で支店長として勤務していた経験を活かし、問題解決のために
最適な解決策をご提案いたします。
金融、相続、不動産、ITシステム、企業法務に関するご相談なら、お金と事業を知り尽くした当事務所へお任せください。
- 経歴
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日本興業銀行・みずほ銀行に通算約24年勤務。
営業店9年、IT部門8年、業務企画部門7年。 最後の3年間は支店長を務める。
都内中堅法律事務所を経て、2014年 KOWA法律事務所を開設。
- 著作
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システム開発 受託契約の教科書
著者:池田 聡 -
元銀行支店長弁護士が教える 融資業務の法律知識
著者:池田 聡
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- 執筆
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週刊東洋経済 2017年9月2日号 民法改正で激変①ITサービス
週刊東洋経済 2020年4月4日号 変わる民法&労働法 3売買・請負 5法定利率
週刊東洋経済 2021年3月6日号 働き方と仕事の法律 売買・請負
月刊銀行実務(銀行研修社) 執筆多数
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