ITシステム開発の法律問題
科学技術の発展により、何らかのIT技術を企業に投入することはごく普通のできごととなってきました。
今では、さまざまな企業においてITシステムは切っても切り離せないというようなところまで来ています。
こうした流れに乗り遅れまいとITシステムを導入しようとする際に、今までにそのようなスキームが構築されていない企業であれば、法的な問題に注意しなければなりません。
ITシステム開発をめぐる法的紛争としては、システムの脆弱性に関する紛争や、システム開発契約をめぐる紛争など、さまざまな段階でトラブルが生じる可能性があります。
本ホームページでは、ITシステム開発の段階で起こりうるトラブルについて解説をしていきます。
◆システムの脆弱性に関する紛争
最近では開発したITシステムを通じて顧客から情報を収集することは珍しくありません。
しかしながら、不正アクセスを受けたことによって、それらの情報が漏洩してしまったというようなニュースを耳にしたことがあります。
不正アクセスによって情報が漏洩したということは、開発したシステムに何らかの脆弱性があり、そこを狙われてしまったことが原因となります。
情報が漏洩した場合には、顧客との間にも問題が生じるということは簡単にわかると思いますが、企業にも損害が発生してしまっているため、システム開発者の法的責任を追求することがあるということはあまり知られていません。
もっとも、システム開発者も全ての責任を負うことになるわけではありません。基本的に構築したシステムには、ある程度の脆弱性がつきものであるため、かなり有名な大手企業の作ったシステムであっても脆弱性をゼロとすることはできません。
そのため、脆弱性が見つかるたびにアップデートを行うことになるのです。
しかしながら、システム開発者の法的責任が認められるか認められないか、認められるとしてどの程度認められるのかといった線引きは非常に難しくなっています。
そこで相手方との交渉次第では、訴訟に至るのを回避することができるため、法的責任を問われたシステム開発会社は、即時に弁護士に相談をすることをおすすめしています。
また相談する弁護士についても、ITシステムや情報漏洩に詳しい、専門的に取り組んでいるような弁護士に相談しなければ、解決させるのは難しいと言えるでしょう。
◆システム開発契約をめぐる紛争
システム開発では、企業とシステム開発者が契約の内容をめぐって紛争に発展するということがあります。
こうした問題が起こる理由としては、一般的な契約と比較すると、システム開発の契約の内容は複雑であることが多く、その内容についての合意がきちんとされていなかったからというものがあげられます。
特に企業がシステム開発を急いでいる場合や、発注先が複数あるようなケースでは、即時に開発を完遂しようと、契約内容の書面化を行わない、しっかりと当事者間で話し合いを行わないといった状況で、開発に着手してしまうことがあります。
このような状況にあっては、契約の内容について細かな解釈の違いがあったり、そもそも「言った」「言ってない」とトラブルに発展してしまいます。
また、システム開発が途中で頓挫したような場合に、システム開発者と企業のどちらが悪いかということをめぐった紛争に発展することもあります。
このような紛争に発展した場合や、紛争を防止するために、システム開発者はプロジェクトマネジメント義務というものを留意しなければなりません。
システム開発者は、開発を進めていく中で、進捗状況を管理し、開発の阻害となるような要因の発見と対処をしなければならず、専門知識のない企業側が開発作業を阻害しないように働きかけを行う義務を負っています。
開発の途中で企業側が無茶な要求をしてきた場合であっても、納期が遅くなってしまう可能性や、要求の内容の見直しをするように促さなければなりません。
もっとも企業側と折り合いがつかず、紛争に発展してしまった場合には、やはりシステム開発に詳しい弁護士に相談をした方がよいといえるでしょう。
KOWA法律事務所では、中央区、大田区、江東区、品川区を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県からの相続、不動産、金融、ITシステム、企業法務に関する相談を受け付けております。
ITシステムの導入でお困りの企業の方は、お気軽にご相談にお越しください。
Basic Knowledge
当事務所が提供する基礎知識
-
銀行との契約時は、行...
銀行と利用者との訴訟で、銀行が敗訴した裁判例は限られます。そもそも、紛争には、仮に訴訟となった場合、どちらが勝つか明らかなものと、どちらとも言い難い、グレーなものがあります。そのようなグレーな事案では、銀行にはなかなか訴 […]
-
共有名義の不動産を売...
不動産を所有する際に、共有名義にしておくと不便な場合があります。その最たる例が、売却時です。ここでは、共有名義の不動産を売却するときに、共有者からの同意が得られない場合の対処法について解説していきます。不動産の共有とは土 […]
-
アジャイル開発でシス...
1980年代くらいまで、システムは汎用機(ホストコンピュータ)が中心でした。その当時、大企業の多くは、プログラミングができるシステム専門要員を社員として抱え、社員で工数的または技術的に賄えない部分を外部委託していました。 […]
-
相続放棄後の管理義務...
2023年(令和5年)4月1日から改正された民法が施行され、相続に関するルールが変わります。これまでの相続の放棄をした者による管理に関しては問題点が指摘されており、それらが改正により改善される見込みです。今回は、相続放棄 […]
-
相続放棄・限定承認申...
■相続放棄とは相続の対象となる財産(以下、遺産)には、主に積極財産および消極財産と呼ばれる2種類の財産があります。 積極財産…相続によって相続人となる方にとって経済的にプラスの利益となる財産(例…土地・建物など […]
-
売主側が押さえておく...
不動産の売買においては、さまざまな点に注意しなければなりません。その一つに契約不適合責任というものがあります。今回は、売主側が押さえておくべき契約不適合責任の免責について解説します。 契約不適合責任とは 契約不適合責任 […]
Search Keyword
よく検索されるキーワード
Lawyer
弁護士紹介
池田 聡Satoshi Ikeda / 東京弁護士会所属
銀行で支店長として勤務していた経験を活かし、問題解決のために
最適な解決策をご提案いたします。
金融、相続、不動産、ITシステム、企業法務に関するご相談なら、お金と事業を知り尽くした当事務所へお任せください。
- 経歴
-
日本興業銀行・みずほ銀行に通算約24年勤務。
営業店9年、IT部門8年、業務企画部門7年。 最後の3年間は支店長を務める。
都内中堅法律事務所を経て、2014年 KOWA法律事務所を開設。
- 著作
-
-
システム開発 受託契約の教科書
著者:池田 聡 -
元銀行支店長弁護士が教える 融資業務の法律知識
著者:池田 聡
-
- 執筆
-
週刊東洋経済 2017年9月2日号 民法改正で激変①ITサービス
週刊東洋経済 2020年4月4日号 変わる民法&労働法 3売買・請負 5法定利率
週刊東洋経済 2021年3月6日号 働き方と仕事の法律 売買・請負
月刊銀行実務(銀行研修社) 執筆多数
Office Overview
事務所概要
名称 | KOWA法律事務所 |
---|---|
資格者氏名 | 池田 聡(いけだ さとし) |
所在地 | 〒103-0004 東京都中央区東日本橋2-8-3 JMFビル東日本橋01 5階 |
連絡先 | TEL:03-5809-2853/FAX:03-5809-2854 |
対応時間 | 平日9:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能です) |
アクセス | 東日本橋駅より徒歩1分 馬喰横山駅より徒歩3分 浅草橋駅より徒歩6分 |
オフィシャルサイト | https://kowa-law.jp/ |