金融ADR制度とは?特徴や具体的な流れなど
金融と聞くと自分とは関係ないものと思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、最近ではNISAやiDeCoなど金融に関するサービスが拡充されてきており、老後の資金形成のために金融を扱う人が増えてきています。
このような金融サービスの拡充の中で、トラブルが発生してしまうケースもあります。
そうした金融トラブルに対して利用できる制度の一つに金融ADR制度というものがあります。
今回は、金融ADR制度について特徴や具体的な流れなどを解説します。
金融ADR制度とは
ADRとは、裁判外紛争解決手続きと呼ばれるものです。Alternative Dispute Resolutionの略称で、裁判以外の方法で紛争を解決することを指します。
2009年の「金融商品取引法等の一部を改正する法律」を基に金融ADR制度が始まりました。
金融ADR制度の特徴
金融ADR制度の特徴は大きく3つあります。
1.紛争解決に要する期間が短いこと
まず、裁判所による紛争解決よりも短期間で完了する点が挙げられます。
具体的な期間は事案によって異なりますが、目安としては、2~6か月程度だと言われています。
2.費用が少ないこと
次に費用が裁判に比べてかからないことが挙げられます。
基本的に紛争解決のために手続費用はかからず、無料です。
3.第三者による公正・中立な和解案
最後に、公正・中立という点が挙げられます。
紛争解決機関は、行政庁によって指定および監督されており、中立性・公正性が確保されています。
また、実際に紛争解決にあたる委員のメンバーは金融に知見がある者が選ばれているため、専門性も確保されています。
このような点が金融ADR制度の特徴です。
上記以外には、一般的なADR制度と異なり、金融ADR制度では苦情も受け付けている点が挙げられます。
さらに、金融ADR制度下では事業者である金融機関に対してのみ義務を課しています。
金融機関に課される義務には、例えば、紛争解決機関の提示した和解案を尊重する義務などがあります。
金融ADR制度を利用する際の具体的な流れ
金融ADR制度を利用する流れは以下の通りです。
1.金融ADR機関に相談
まず、金融ADR機関に相談をします。
金融ADR機関は業態ごとにそれぞれ設立されているため、利用している金融機関に関する相談を扱う金融ADR機関に相談をします。
2.話し合い
次に、当事者同士での話し合いが行われます。
この話し合いで解決し、完了する場合もありますが、当事者同士の話し合いでも解決しなかった場合、金融ADR機関に紛争解決の申し立てを行います。
3.紛争解決の申し立て
紛争解決の申し立てが行われると、金融機関はそれに応じる義務があります。
そして、金融ADR機関が、第三者の立場から公正・中立にそれぞれの意見を聞きます。
それを基に金融ADR機関から和解案が提示されます。
金融機関には、提示された和解案を尊重する義務があります。
一方、金融ADR機関は公正・中立な立場であるため、申し立てを行った人の望んだ結果になるとは限りません。
金融に関するお悩みは池田聡(KOWA法律事務所)におまかせください
今回は、金融ADR制度について特徴や具体的な流れなどを解説しました。
金融ADR制度を使えば裁判よりも簡易に紛争を解決することが望めます。
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弁護士紹介
池田 聡Satoshi Ikeda / 東京弁護士会所属
銀行で支店長として勤務していた経験を活かし、問題解決のために
最適な解決策をご提案いたします。
金融、相続、不動産、ITシステム、企業法務に関するご相談なら、お金と事業を知り尽くした当事務所へお任せください。
- 経歴
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日本興業銀行・みずほ銀行に通算約24年勤務。
営業店9年、IT部門8年、業務企画部門7年。 最後の3年間は支店長を務める。
都内中堅法律事務所を経て、2014年 KOWA法律事務所を開設。
- 著作
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システム開発 受託契約の教科書
著者:池田 聡 -
元銀行支店長弁護士が教える 融資業務の法律知識
著者:池田 聡
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- 執筆
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週刊東洋経済 2017年9月2日号 民法改正で激変①ITサービス
週刊東洋経済 2020年4月4日号 変わる民法&労働法 3売買・請負 5法定利率
週刊東洋経済 2021年3月6日号 働き方と仕事の法律 売買・請負
月刊銀行実務(銀行研修社) 執筆多数
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