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銀行との契約時は、行員の説明の記録化を

銀行と利用者との訴訟で、銀行が敗訴した裁判例は限られます。

そもそも、紛争には、仮に訴訟となった場合、どちらが勝つか明らかなものと、どちらとも言い難い、グレーなものがあります。

そのようなグレーな事案では、銀行にはなかなか訴訟で勝てません。

グレーな事案は、言った、言わないで争いとなることが、銀行に限らず、一般に多いですが、この言った、言わないの認定はなかなか大変です。

銀行取引については、デリバティブ取引のリスクを説明したか否かが争点になることが良くあります。銀行は説明したと主張し、顧客は聞いていないと主張するものです。

実際に説明をしたか否かは録音がない限り直接は立証できません。そこで、銀行は説明したことを推認する証拠を出し、顧客側は説明を受けていないことを推認する証拠を提出します。そこで強力なのが、銀行側が提出する取引経緯記録(面談記録)です。

私の経験では、銀行の営業店は、真に説明したことを取引経緯記録(面談記録)に書いている訳ではありません。こう書けば、業務監査で指摘されないであろうということを念頭に、架空の模範答案を書いていることは良くあります。私も、銀行の支店長時代、上がってきた記録に対して、内心、“嘘書いているだろ!”と思いながら支店長印を押したことは何度もあります。

一方、銀行の顧客側は、説明を聞いていないことを立証する客観的証拠が何もないことが普通です。これでは銀行相手に訴訟に勝てません。銀行と紛争状態になってから、行員とのやりとりを録音する方は多いですが、その段階になれば、銀行員も言葉を慎重に選びます。

銀行員がコンプラよりもセールスに気が走っているときの会話内容を証拠化できなければ、銀行にはなかなか勝てません。

そのためには、セールスを受けた時に、それを録音しておくことがベストでしょう。しかし、現実にはなかなかそこまではできません。そこでお勧めするのは、説明を受けた内容を箇条書きにメモしておくことです。それは、後々紛争となった際の証拠として役立つだけでなく、そもそも契約をすることが得策なのかを冷静に判断する材料としても有意義です。

なお、紛争になってから“創作”したとの誹りを受けないために、いつメモしたのものか、客観的に明らかになるようにしておくことも重要です。

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弁護士紹介

池田 聡先生

池田 聡Satoshi Ikeda / 東京弁護士会所属

銀行で支店長として勤務していた経験を活かし、問題解決のために
最適な解決策をご提案いたします。

金融、相続、不動産、ITシステム、企業法務に関するご相談なら、お金と事業を知り尽くした当事務所へお任せください。

経歴
日本興業銀行・みずほ銀行に通算約24年勤務。
営業店9年、IT部門8年、業務企画部門7年。 最後の3年間は支店長を務める。
都内中堅法律事務所を経て、2014年 KOWA法律事務所を開設。
著作
  • システム開発 受託契約の教科書

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    著者:池田 聡

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  • 元銀行支店長弁護士が教える 融資業務の法律知識

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    著者:池田 聡

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執筆
週刊東洋経済 2017年9月2日号 民法改正で激変①ITサービス
週刊東洋経済 2020年4月4日号 変わる民法&労働法 3売買・請負 5法定利率
週刊東洋経済 2021年3月6日号 働き方と仕事の法律 売買・請負
月刊銀行実務(銀行研修社) 執筆多数

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資格者氏名 池田 聡(いけだ さとし)
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