限定承認とは?メリット・デメリットや手続きについて解説
相続が発生すると、被相続人の財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も原則として相続人が引き継ぐことになります。
そこで重要になるのが、限定承認の制度です。
今回は限定承認のメリットとデメリット、手続きの流れを解説いたします。
限定承認のメリット
限定承認のメリットは、以下のとおりです。
- 借金を相続人個人の財産で支払わずに済む
- プラスの財産を引き継げる可能性がある
それぞれ確認していきましょう。
借金を相続人個人の財産で支払わずに済む
限定承認のメリットは、被相続人の借金を相続人自身の財産で負担しなくてよい点です。
相続財産の範囲内で清算すれば足り、それを超える部分の債務については責任を負いません。
プラスの財産を引き継げる可能性がある
相続放棄をすると、借金だけでなく不動産や預貯金などのプラスの財産も一切相続できません。
一方、限定承認であれば、債務を弁済した後に財産が残れば、それを相続人が取得できます。
ただし、限定承認において相続人が不動産や事業用資産などを取得するためには、相続人がその財産を評価額で買い取れる資力を有していることが前提となります。
相続人には先買権が認められているにすぎず、無条件に財産を引き継げるわけではないため注意が必要です。
限定承認のデメリット
限定承認には、次のようなデメリットが存在します。
手続きが複雑で負担が大きい
限定承認は、相続放棄と比べて手続きが複雑です。
財産目録の作成、債権者への公告や弁済など、段階的な対応が必要になります。
相続人全員の合意を得る必要がある
限定承認を利用するためには、原則として相続人全員の合意が必要です。
1人でも反対する相続人がいる場合、限定承認は利用できません。
限定承認の手続きの流れ
限定承認は、以下のような流れで進めるのが一般的です。
①相続財産と相続人の調査をする
まず、被相続人にどのような財産や債務があるのかを正確に把握しなければなりません。
預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も含めて調査を行います。
あわせて、法定相続人が誰であるかを確認します。
②相続人全員の合意を得る
相続人が複数人いる場合、その全員に連絡を取ります。
限定承認の内容や影響について、相続人間で十分に説明・話し合いを行い、全員が納得したうえで合意を形成することが重要となります。
③家庭裁判所へ申立てを行う
相続人全員の合意が得られたら、家庭裁判所に限定承認の申立てを行います。
申立ては、原則として自己の相続開始を知った日から3か月以内に行う必要があります。
④債権者への対応と相続財産の清算をする
家庭裁判所に申立てが受理されると、相続人は相続財産を管理し、債権者への公告や請求への対応を行います。
その後に相続財産の範囲内で債務の弁済を行って、財産の清算を進め、もし財産が残れば相続人に分配されます。
まとめ
限定承認は、相続人の負担を限定しつつ、財産を守れる可能性のある相続方法です。
ただし、手続きの複雑さや期限、相続人全員の合意といった注意点も多く、慎重な判断が求められます。
限定承認を選ぶべきか迷う場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
Basic Knowledge
当事務所が提供する基礎知識
-
アジャイル開発でシス...
1980年代くらいまで、システムは汎用機(ホストコンピュータ)が中心でした。その当時、大企業の多くは、プログラミングができるシステム専門要員を社員として抱え、社員で工数的または技術的に賄えない部分を外部委託していました。 […]
-
公正証書遺言でもめる...
公正証書遺言は遺言書の中でも特に信頼性が高いとされていますが、公正証書遺言を作成した場合でも、残念ながら相続を巡る争いが発生することがあります。ここでは、公正証書遺言が存在するにもかかわらずトラブルになるケースと、その対 […]
-
相続財産(特別受益と...
■相続の特別受益とは相続の特別受益とは、相続をなさる方が生前に特定の相続人に贈与などを行うことをいいます。具体的に特別受益とは以下のものが該当すると法律で定められています。 ①遺贈②婚姻、養子縁組のため贈与され […]
-
相続放棄が認められな...
被相続人(亡くなった方)の財産を相続する権利を一切放棄し、財産を全く相続しない旨の意思表示をすることを、相続放棄といいます。以下では、そうした相続放棄が認められない場合や、実際に相続放棄をする際の注意点についてご説明いた […]
-
建築トラブル
建築を業者に依頼する場合には、民法上の請負契約を締結することになります。請負契約に関する条文には報酬の支払いや契約不適合責任と呼ばれるものが規定されています。本ホームページでは、建築でトラブルが発生した際の民法上の規定に […]
-
限定承認とは?メリッ...
相続が発生すると、被相続人の財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も原則として相続人が引き継ぐことになります。そこで重要になるのが、限定承認の制度です。今回は限定承認のメリットとデメリット、手続きの流れを解説 […]
Search Keyword
よく検索されるキーワード
Lawyer
弁護士紹介

池田 聡Satoshi Ikeda / 東京弁護士会所属
銀行で支店長として勤務していた経験を活かし、問題解決のために
最適な解決策をご提案いたします。
金融、相続、不動産、ITシステム、企業法務に関するご相談なら、お金と事業を知り尽くした当事務所へお任せください。
- 経歴
-
日本興業銀行・みずほ銀行に通算約24年勤務。
営業店9年、IT部門8年、業務企画部門7年。 最後の3年間は支店長を務める。
都内中堅法律事務所を経て、2014年 KOWA法律事務所を開設。
- 著作
-
-

システム開発 受託契約の教科書
著者:池田 聡 -

元銀行支店長弁護士が教える 融資業務の法律知識
著者:池田 聡
-
- 執筆
-
週刊東洋経済 2017年9月2日号 民法改正で激変①ITサービス
週刊東洋経済 2020年4月4日号 変わる民法&労働法 3売買・請負 5法定利率
週刊東洋経済 2021年3月6日号 働き方と仕事の法律 売買・請負
月刊銀行実務(銀行研修社) 執筆多数
Office Overview
事務所概要
| 名称 | KOWA法律事務所 |
|---|---|
| 資格者氏名 | 池田 聡(いけだ さとし) |
| 所在地 | 〒103-0004 東京都中央区東日本橋2-8-3 JMFビル東日本橋01 5階 |
| 連絡先 | TEL:03-5809-2853/FAX:03-5809-2854 |
| 対応時間 | 平日9:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です) |
| 定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能です) |
| アクセス | 東日本橋駅より徒歩1分 馬喰横山駅より徒歩3分 浅草橋駅より徒歩6分 |
| オフィシャルサイト | https://kowa-law.jp/ |
