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Web制作やシステム開発の仕様違い

Web制作やシステム開発については、知的財産法関連の問題が生じることとなります。
そこでWeb制作やシステム開発に着手する際に注意しなければならない、知的財産法上の問題点について解説をしたいと思います。

 

知的財産法とは法律の名前ではなく、知的財産に関連する権利関係について規定している法律の総称を知的財産法と呼んでいます。
知的財産法の内容としては、著作権法、特許法、意匠法、不正競争防止法などといったものが代表的なものとしてあげられます。

 

◆Web制作における知的財産法上の問題点
Webサイトの作成に際しては、さまざまな法律に注意しなければなりません。
そこでそれぞれの法律に関連するトラブルの事例やその解決方法について解説をしていきたいと思います。

 

・著作権法上の問題
Webサイトを制作する際に、注意しなければならない著作権法違反の例としては、他人の著作物を無断で使用するという行為です。
インターネット上で拾ってきた画像を自らのホームページに掲載する際には、その画像が著作物ではないかということや、画像の掲載元に確認をする必要があります。

 

もっとも他人の著作物を利用して、著作権侵害となるケースは、無断利用をした場合です。
著作者に対して許可を取って利用するのであれば特に問題はありません。

 

また、Webサイト上でその画像が占める割合を低くし、どの部分が引用された画像であるかを明確に示すことによって、著作者の承諾を得ることなく、掲載をすることができます(著作権法32条)。
このことを「引用」といいます。

 

・商標法上の問題点
他人が商標登録している商標を無断で使用する行為は、商標権侵害となる可能性があります。
Web制作をする上では、目につきやすいサイトの構成や画像などに気を遣うことはあるのですが、サイトのドメインについてはあまり意識が向かないことが多くなっています。
商標権の問題となりやすい場面が、自身の作成したWebサイトのドメインの中に、他人が商標登録をしている商標を入れ込んでしまったような場合です。

 

商標登録がされているかどうかは、特許庁のホームページで検索をすることができるため、Webサイトを制作する際には、その都度確認する方が良いでしょう。

 

・不正競争防止法上の問題点
他人が販売している商品が商標登録がなされていないからといって、その商品名を、無断で自身のWebサイト上で使用する行為は不正競争防止法違反になる可能性があります。
ただし不正競争防止法違反となる場合は、その商品名が「商品等表示」に該当する場合に限られます。

 

このような不正競争防止法違反の例としては、周知表示混同惹起行為と著名表示冒用行為の2種類があります。

 

羞恥表示混同惹起行為とは、広く周知された商品名と類似した商品表示を利用して、商品の販売等を行い、市場で混同を生じさせるような行為を指します。

 

著名表示冒用行為は、自己の商品の表示として他人の著名な商品表示を使用して、商品の販売をする行為を指します。

 

◆システム開発における知的財産法上の問題点
何かしらのシステム開発を行う際には、システム開発の契約に関する問題ももちろんのことですが、開発したシステムが他人の知的財産権を侵害していないかという点にも注意しなければなりません。

 

システム開発に関しては、特許法が強く関わってきます。
システム開発において注意すべき特許法上の問題点について解説をしていきましょう。

 

システム開発によって成立する特許権は、ソフトウェア特許と呼ばれています。
ソフトウェアであっても、特許権が成立する要件は、従来の発明品と変わらないため、特許要件について見てみましょう。

 

①発明であること(特許法29条)
②新規性(同条1項)
③進歩性(同条2項)
④産業上の利用性(同条)
⑤先願であること(同法39条)

 

発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものとされており、システム開発がこれにあたることは疑いがないでしょう。

 

新規性とは、簡単に言うと発明がこれまで世の中に無かったようなものであることです。

 

他人との権利関係で問題となるのが進歩性の要件となります。
進歩性とは、発明が先行技術に基づいてその技術分野の専門家が容易に成し遂げることができないものを指します。

 

単にシステム開発の際に、他人が作ったシステムに改造等を加えただけでは、専門家が容易に成し遂げることができてしまう可能性があるため、進歩性が否定されることとなってしまいます。

 

また特許要件を全て充足したからといって、特許出願を申請し、特許を取得した場合であっても、他者の特許権を侵害してしまう可能性があります。

 

特許が取得できるということと、他人の特許を侵害するということは全くの別物であるからです。

 

このような事態を避けるためには、やはり事前に自身の開発予定のシステムやソフトウェアに類似するものが、すでに特許登録されていないかということを事前にチェックする必要があるでしょう。

 

開発を終えた後に確認をし、もし類似のものが見つかった場合には、一から作り直しを余儀なくされますし、特許を取得してしまった場合には、当該特許権者から差止請求や損害賠償請求をされるリスクもあります。

 

KOWA法律事務所では、中央区、大田区、江東区、品川区を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県からの相続、不動産、金融、ITシステム、企業法務に関する相談を受け付けております。
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弁護士紹介

池田 聡先生

池田 聡Satoshi Ikeda / 東京弁護士会所属

銀行で支店長として勤務していた経験を活かし、問題解決のために
最適な解決策をご提案いたします。

金融、相続、不動産、ITシステム、企業法務に関するご相談なら、お金と事業を知り尽くした当事務所へお任せください。

経歴
日本興業銀行・みずほ銀行に通算約24年勤務。
営業店9年、IT部門8年、業務企画部門7年。 最後の3年間は支店長を務める。
都内中堅法律事務所を経て、2014年 KOWA法律事務所を開設。
著作
  • システム開発 受託契約の教科書

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    著者:池田 聡

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  • 元銀行支店長弁護士が教える 融資業務の法律知識

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    著者:池田 聡

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執筆
週刊東洋経済 2017年9月2日号 民法改正で激変①ITサービス
週刊東洋経済 2020年4月4日号 変わる民法&労働法 3売買・請負 5法定利率
週刊東洋経済 2021年3月6日号 働き方と仕事の法律 売買・請負
月刊銀行実務(銀行研修社) 執筆多数

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