借地上の建物を登記するメリットとは?登記しない場合のリスクも解説
借地上に建物を所有していても、建物の登記をしていないケースは少なくありません。
しかし、建物の登記がない状態では借地権を法的に主張することができず、地主が土地を売却した場合などに深刻なトラブルが生じるリスクがあります。
本記事では、借地上の建物を登記するメリットと、未登記のまま放置する危険性を解説します。
借地上の建物登記と借地権の対抗力の関係
借地権の対抗力とは、地主や新しく土地を購入したひとに対して、自分はここに住み続ける権利があると法律上堂々と主張できる力のことです。
本来、借地権は土地の登記簿に記載されることで対抗力を持ちますが、登記手続きには地主の協力が必要です。
地主側には登記を協力する義務がないため、借地権者が土地の登記簿に借地権を記載してもらうことは実務上難しいケースが多くあります。
そこで、借地借家法第10条では、借地上に建物の登記がある場合には、借地権者は土地に関して対抗力を持つと定めています。
そのため、借地上の建物を登記しておくことが、借地権を守るうえで重要な意味を持ちます。
借地上の建物を登記するメリット
借地上の建物を登記するメリットを確認していきましょう。
メリット①地主が土地を売却しても立ち退きを拒否できる
借地上の建物を登記するメリットは、地主が土地を売却して新しいオーナーに変わった場合でも、借地権を主張して立ち退きを拒否できる点です。
建物の登記があれば、借地権の対抗力が生じるため、土地の新しいオーナーに対して法的な根拠を持って居住を続ける権利を主張することが可能です。
借地権を確実に守るためにも、建物の登記を行っておくことが大切です。
メリット②金融機関から融資を受けやすくなる
建物の登記があることで、建物を担保として金融機関から融資を受けられるメリットがあります。
建物を担保として認めてもらうためには、登記による権利の公示が前提条件となるため、未登記の建物ではローンの審査が通らないケースがほとんどです。
たとえば、建物のリフォームや建て替えを検討する際に、登記があれば住宅ローンや建設ローンの審査を受けることができます。
将来的な資金調達の選択肢を確保するためにも、建物の登記を行っておくことをおすすめします。
メリット③建物の権利関係を明確にし売却・譲渡をスムーズに進められる
建物の登記を行うことで、所有者が誰であるかを公的に明確にすることができ、相続や売却の際に所有者をめぐるトラブルを未然に防ぐことができます。
登記がない場合、買主は権利の存在を確認できないため取引が難航するケースが多く、売却価格の交渉においても不利な条件を提示されるおそれがあります。
また、借地権の譲渡には原則として地主の承諾が必要ですが、建物の登記があることで権利関係が明確になり、地主や関係者との手続きを円滑に進めやすくなります。
将来的に売却や譲渡の可能性がある場合に備えるためにも、建物の登記を早めに行っておくことが大切です。
未登記のまま放置する危険性
借地上の建物を未登記のまま放置すると、さまざまな危険性があるため注意が必要です。
まず、土地が売却された場合に立ち退きを求められても、法的に対抗できないリスクがあります。
また、建物表題登記は建物の完成から1か月以内に申請する義務があり、正当な理由なく未登記のまま放置している場合、10万円以下の過料が科されるリスクもあります。
さらに、未登記の建物は相続の際に権利関係が曖昧になりやすく、次世代に複雑な問題を引き継がせてしまう原因となります。
借地上の建物登記にかかる費用の目安
建物の所有権保存登記の登録免許税は、建物の固定資産税評価額の0.4%が基本です。
たとえば、固定資産税評価額が1000万円の建物であれば、登録免許税は4万円となります。
なお、建物の登記を行ったからといって、固定資産税の負担が新たに増えるわけではありません。
固定資産税は登記の有無にかかわらず、実際に建物が存在していれば課税対象となるため、登記することで税負担が増えるという心配は不要です。
弁護士に相談するべきケース
まず、地主が建物の名義変更に反対しているケースです。
地主の同意がなくても建物の登記自体は可能ですが、地主との関係が悪化している場合は法的な対応が必要となることがあります。
次に、地主から立ち退きを迫られているケースです。
建物の登記がない状態で立ち退きを求められた場合、迅速に法的な対応を取る必要があります。
また、親の名義のまま建物が放置されているケースも、権利関係が複雑化しトラブルに発展する可能性があるため、早めに対処することが大切です。
まとめ
借地上の建物を登記することで、地主の土地売却時の立ち退き拒否や融資の活用、権利関係の明確化など多くのメリットが得られます。
一方で、未登記のまま放置すると対抗力を失うリスクや、過料が科されるリスクがあるため注意が必要です。
地主との交渉や立ち退き問題が生じた場合は、速やかに弁護士へ相談することをおすすめします。
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弁護士紹介

池田 聡Satoshi Ikeda / 東京弁護士会所属
銀行で支店長として勤務していた経験を活かし、問題解決のために
最適な解決策をご提案いたします。
金融、相続、不動産、ITシステム、企業法務に関するご相談なら、お金と事業を知り尽くした当事務所へお任せください。
- 経歴
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日本興業銀行・みずほ銀行に通算約24年勤務。
営業店9年、IT部門8年、業務企画部門7年。 最後の3年間は支店長を務める。
都内中堅法律事務所を経て、2014年 KOWA法律事務所を開設。
- 著作
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システム開発 受託契約の教科書
著者:池田 聡 -

元銀行支店長弁護士が教える 融資業務の法律知識
著者:池田 聡
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- 執筆
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週刊東洋経済 2017年9月2日号 民法改正で激変①ITサービス
週刊東洋経済 2020年4月4日号 変わる民法&労働法 3売買・請負 5法定利率
週刊東洋経済 2021年3月6日号 働き方と仕事の法律 売買・請負
月刊銀行実務(銀行研修社) 執筆多数
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